
タクシー営業では、朝一番に長距離のお客様を乗せると、その日の売上が一気に楽になります。
この日も、出庫して間もなく長距離のお客様にご乗車いただきました。
いわゆる「初手ロング」です。
幸先の良いスタートでした。
「今日はいい一日になるかもしれない」
そんな気持ちになりましたが、タクシー営業は、一本の長距離だけで最後までうまくいくほど単純ではありません。
その後、私はガス補給で時間を失うことになりました。
ガススタンドの営業時間が変わっていた
この日は、営業途中でガスを補給する必要がありました。
いつも利用していたガススタンドへ向かったのですが、営業時間が変わっていたことを忘れていました。
到着してから営業していないことに気づき、別のガススタンドへ移動することになりました。
会社によっては、契約しているガススタンドが営業エリアの近くにないこともあります。
一般のガソリン車のように、近くにあるスタンドへ自由に入れるとは限りません。
そのため、営業中の現在地によっては、ガスを入れるためにかなりの距離を移動しなければならないことがあります。
タクシーは、走れば走るほど燃料を使います。
ガスを入れるために移動しているのに、その移動でもガスを使います。
さらに、その間はお客様を乗せることができないため、営業できる時間も減っていきます。
結果として、ガス補給のためにガスと時間の両方を消費してしまいました。
初手ロングで作った余裕を、その後の準備不足で少しずつ失ってしまったのです。
売上だけでなく、残量も読まなければならない
営業中は、どうしても売上に意識が向きます。
現在の売上はいくらか。
目標まで、あといくら必要か。
次はどのエリアへ向かうか。
もちろん、これらは大切です。
しかし、燃料の残量や補給場所の営業時間も、同じくらい重要です。
特に長距離のお客様を乗せたあとは、予想以上に燃料を消費していることがあります。
「まだ大丈夫だろう」
そう考えて営業を続けていると、後になって補給場所の選択肢が少なくなります。
契約しているガススタンドが近くになければ、営業エリアを離れて補給へ向かわなければなりません。
売上を伸ばすために営業を続けた結果、逆に大きな時間を失うこともあります。
ロングのお客様はボーナスではなく、次の判断材料
長距離のお客様に乗っていただくと、気持ちに余裕が生まれます。
しかし、その余裕が油断につながることもあります。
ロングのお客様を引いたからといって、その日の営業が成功したわけではありません。
大切なのは、その後の動きです。
降車場所はどこか。
燃料はどのくらい残っているか。
次に狙えるエリアはどこか。
休憩や食事はいつ取るか。
契約しているガススタンドはどこにあり、何時まで営業しているか。
一本の売上を喜ぶだけではなく、その一本を次の営業につなげる必要があります。
営業前に確認しておきたいこと
今回の反省から、今後は出庫前に次の点を確認することにしました。
- ガスの残量
- 利用予定のガススタンド
- 契約しているガススタンドの場所
- 営業時間
- 定休日
- 営業エリアからの移動時間
- 混雑や休業時の代替候補
特に、日曜日や祝日は営業時間が普段と違う場合があります。
以前利用できた時間でも、現在は営業時間が変更されていることがあります。
記憶だけに頼らず、その日の情報を確認することが大切です。
タクシー営業は「小さな準備」の積み重ね
この日は、最終的には大きく崩れることなく営業を終えることができました。
ただ、振り返ると改善できる点がありました。
初手ロングを引いたことよりも、その後のガス補給をうまく組み立てられなかったことのほうが、今後の営業には重要な学びです。
タクシー営業は、運だけで売上が決まる仕事ではありません。
もちろん、お客様との出会いには運の要素があります。
しかし、その運を生かせるかどうかは、準備と判断で変わります。
売上を積む。
休憩を取る。
燃料を補給する。
次のエリアへ移動する。
一つひとつは小さな判断ですが、その積み重ねが一日の結果になります。
初手ロングを引いて安心するのではなく、その後こそ丁寧に動く。
今回のガス補給の失敗を、次の営業に生かしたいと思います。




